マダムヴェール

オーナーインタビュー

技術・知識・己の追求

――マダムヴェールオーナー兼エステティシャンの田中さんが、エステ業界を志した経緯から教えてください。


田中:実はエステ業界を志したというわけではなかったのです。

当時、夫が工務店を営んでおり、自宅は事務所を兼ねていました。
業者の方などが来られたら、私たち家族は隅に追いやられ、子供たちにも不自由な思いをさせていました。
そのような生活をなんとか送っている時、知人の大家さんがお持ちの事務所を借りる人を探していました。

私が心辺りのある人に声をかけたのですが断られ、責任を感じて結局は私が借りるようになったのです。
とても責任を感じ落ち込んでいた時、その大家さんから「エステのお店を始めてみたら?」と勧められました。


ちょうどその頃母の知り合いの方がハーブトリートメントのスクールを始めると聞き、
趣味のつもりでエステを習いに行っていたのです。

そうしてエステをオープンしたのが1986年の事です。


記者:偶然が重なったのでしょうか。ご自身の意思で始めたわけではなかったのですね。

田中:私自身人前に出ることが苦手で、あまり積極的ではなく、人前に出て喋る必要がある時は2週間前から心の準備を始めるような性格です。

記者:田中さんとは約2年のお付き合いですが、意外でした。想像よりもずいぶん消極的なエピソードですね。
当時のお気持ちを教えてください。

田中:趣味の延長程度の認識でいたエステで、家賃が払えるかとても不安でした。
少しでも家計の手助けになれれば、と思ってエステを始めたものの不安で心が折れそうな日々を送っていました。
その時、私がとても尊敬している方から「一度漕ぎ出した船は対岸にたどり着かねばならない」と言われたのです。
その言葉に後押しされ、なんとか今日までやって来れました。

記者:最初は当然不安ですよね。周囲の反応はいかがでしたか?

田中:夫は私が家から出る事を嫌がり、猛反対されました。
でも私に根負けしたのでしょうか、夫が2台のベッドとドレッサーを作ってくれました。

 

――ちょうど1985年5月に男女雇用機会均等法が成立しましたよね。偶然かもしれませんがその年の開店とは興味深いです。

 

田中:その頃は女性は家で子育てをする事が当たり前の時代でした。健康食品や化粧品等の販売などをしていた叔母の存在が大きかったかもしれません。
最初は反対していた夫も内心応援してくれたのか、私が子供を連れて勉強に通い始めた時も小言は言われましたが、
家事を手伝ってくれたりお店の内装を手伝ってくれたり、バックアップをしてくれました。

 

――お子さんを連れて勉強会へ?

 

田中:1989年、メークアップアーティストの資格を取るために北九州から警固まで一年間通いました。
今では考えられない事ですが3人の子供を車で待たせ、ブライダルメイクやステージメイクを勉強しました。

記者:今では絶対に許されませんね…

田中:はい。その頃はお客様に満足してもらいたい、技術を高めたいという気持ちしかなく、
自身のスキルアップに繋がる事には時間も費用も惜しみたくなかったのです。

 

――田中さんはたくさんの資格をお持ちです。せっかく習得した技術を人に教える事に抵抗はありませんでしたか?

 

田中:はい。最初は誰にも教えるつもりはありませんでした。
私自身は1989年にアロマテラピーに出会い、お客様に施術をする中で、ある時にこれでいいのかな、
と思う事がありました。

 

――どのような出来事でしょうか?

 

阪神淡路大震災をきっかけにアロマテラピーが広まり始めた事です。
ボランティアスタッフの方が被災者の方々にアロマを通じて心のケアを行う姿を見て、
「きっと大変だけど誰かに伝え、それを通じた『人づくり』に力を注いでいこう」
そう決心し2005年にアロマテラピースクール(日本アロマ環境協会認定)を開設しました。

 

――人のために何か行動をする事は簡単ではないと思います。

 

田中:元々、「何とかしてあげたい」という気持ちで物事を始める事が多かったのです。
ニードル脱毛の国際資格を取得した時もそうでした。日本に駐在する外国人の方が脱毛をしたいけど
きちんとした資格を持っているお店で施術したい。脱毛ができず困っている、と相談を受け、
資格を取ることを決意しました。
リンパドレナージュも、エステを目的に来店してくれた医療業務従事者の方が、
「患者さんが浮腫みで苦しんでいる」と聞き、
習えるところがないのであれば私が講座を開けるようになればいいんだと行動しました。

実際に施術を行うには認定証の発行が必要ですが認定校でなければ認定証を発行できないためNPO法人を設立しました。(現在は閉鎖。)
有限会社として登記したのもたった一人のために「なんとかしてあげたい」と行動した結果です。

 

――人前に出ることが苦手なのになぜそこまでできたのでしょうか。

 

田中:相談されたり、頼られると断れない性格なんです。自分の苦手意識よりも、「なんとかしてあげたい」
という一心で日々過ごしてきました。
結果人と人とのつながりが出来、お客様や生徒の相談にも応えられるようになりました。
たった一人の人のために始めたスクールも、受講者が16人まで増えました。
認定校として技術を教えるかたわら生徒さんの悩み相談などにも応じ、その時のメールはまだ携帯電話に保存しています。
自分が行動することで築いてきた人と人との信頼関係や絆は、私の財産となりました。
また、自分自身が積極的な性格ではないので、周りから進められたことは全て受け入れてきました。
結果的にそれがサロンの成長に繋がったのだと思います。


――2009年、今の店舗に移転したとの事ですが移転のきっかけはどのようなものだったのですか?

田中:スクールを開催するにあたり、有難いことに生徒さんの数が増え店舗が手狭になりました。
納得のいく指導ができなくなると思い移転することになりました。


――サロンの前にある薔薇が植えられた小休憩スペースが印象的でした。


田中:現在は新型コロナウイルスの感染防止のためご利用を控えて頂いていますが、
元々はご近所の方々に利用頂きたいと小休憩ができるスペースを設置していました。

サロン開業以来、お客様が誰にも会わず来店・お帰り頂けるよう細心の注意を払っており、
このコロナ禍で自分たちの大切にしてきたホスピタリティが活かされたようで新型コロナウイルスについては複雑な気持ちです。

――人と人との接し方が大きく変わりましたね。最後に、お客様へのメッセージをお願いします。


長い長い歳月の中、私へ送ってくださったお客様の眼差しの中に見える「不安や不調」。
それが私の原動力となり、勉強に突進して参りました。

そんな私を支えてくださり、お客様方には感謝の気持ちでいっぱいです。

そして尚、わからないことを分からないままには出来ずに、まだまだ知りたいことがいっぱいです。

豊富な知識に裏打ちされた確かな技能とクオリティの高いスキンケアラインを求めて、
さらなるグレードアップを目指してひたすらにまい進していきたい、そんな私をどうぞ宜しくお願い致します。


――改めて、リニューアルオープンおめでとうございます。益々のご活躍をお祈り申し上げます。

有限会社マダム・ヴェール
オーナーセラピスト 
田中富貴惠

ー有資格ー

 I.F.A(英国) 国際アロマセラピスト連盟認定アロマセラピスト

(公社)日本アロマ環境協会認定アロマセラピスト
(公社)日本アロマ環境協会認定インストラクター

英国リフレクソロジー協会認定リフレクソロジスト
(一社)日本エステティック協会認定エステティシャン

フランス DLM 技術者会・DLM 修了証取得

日本リンパドレナージスト協会認定リンパドレナージスト

​HISMハワイアンマタニティマッサージ修了証取得

​日本アロマ環境協会登録試験官

ヒューマンアカデミー小倉校 アロマテラピー担当

メイトカルチャーヴィレッジ黒崎 アロマテラピー担当

栄光病院 聖ヨハネ病院 ホスピス病棟にてアロマケアボランティア活動

則松市民センター講義「こんなに誤解されているリンパドレナージュ」

北九州市立年長者研修大学校 穴生学舎 心と身体の健康コース「リンパドレナージュを正しく知るセミナー」担当